フラッシュを使う撮影が楽しく、このブログでもしょっちゅう出てくるのはフラッシュネタになってしまいますが、いつでもどこでもフラッシュを使えるわけではありません。
例えば風景を撮る場合。巨大な山や湖全体を照らせるフラッシュはないわけで(^-^;そこは自然の太陽に頼るしかありません。風景写真家の方々が、自分のイメージする光と色を求めて幾度となく現場に通い、タイミングをじっと待つのは、自然が作り出すライティングの瞬間を狙っているからでしょう。
上の写真:上は、書いてある通り、カメラ任せの設定で撮りました。F5.6,1/100秒、ISO64です。
下は、そのままの設定で、「露出補正」というカメラの機能を使い、-2(露出補正はマイナス側に振ると暗く、プラス側に振ると明るく補正して撮影してくれます)の設定で撮りました。
この写真で私が表現したかったのは、白く輝くススキの美しさと、当日の天気が良かったことです。これらを表現する場合、上の写真で不満だったのは
- 白いススキ以外のものも比較的明るく写っていて、主題である白いススキが目立ちにくい
- 天気が良かったことを表現したいのに、本来青空だった空が真っ白に飛んでしまっている
そこで、カメラの露出補正という機能を使いました。-2段(2段分暗くする)という設定は、カメラのダイヤルをくるくる回すだけで簡単にできます(ニコン一眼レフの場合)。すると、
- 白いススキの下の土手と背景の緑の森が暗く沈んで、白いススキが目立つようになりました。
- 白飛びしていた背景の青空が本来の見え方になりました。
カメラの自動露出機能というのは、基本的に、なるべく全体を均一な明るさで表現しようとします。デジタルカメラの良さを生かし、まずはカメラ自動機能で1枚撮影。その結果をもとに、カメラマンが自分の好み・表現したい感じになるように補正してあげる事が、「見たまま・感じたまま」の写真に仕上げるコツです。もちろん、カメラの自動設定がそのままいい結果につながることもありますが、例えばこのような極端な輝度差がでるシチュエーションでは人間による補正は必要かと思います。
補正の方法にもいろいろありまして、
- この例のように露出補正する
- カメラがたたき出した結果数値を基に、マニュアルに切り替えて、シャッタースピード・絞り・ISO感度を手動で設定する
- カメラの露出測光方式を「マルチパターン測光(ニコンでの名称・画面全体をなるべく平均な明るさになるように写す)」から、「スポット測光(画面内の、表現したい被写体にのみ適正露出させる)」に切り替え、白いススキだけを測光する
などなど、カメラマンの好みや現場での利便性により、様々な対策がとれます。私は最も素早く簡単だと思うので、露出補正をよく使います。一眼レフに限らず、マニュアル機能がついているコンパクトカメラでも露出補正は可能かと思います。ひょっとしたらスマホアプリにもこういった機能がついてるものがあるかもしれませんね。
ここで実験です。一眼レフなどのカメラには、非常に多くの情報を取り込んで撮影できる「RAW」方式があります。とりあえずカメラ任せでRAW撮影し、帰宅してから現像ソフトでいじればいいんじゃないか?
やってみました↧
いかがですか?カメラ任せで撮影して後からソフトで補正した写真(上の上)、白いススキを挟んだ、下の土手と背景の森はいい感じに暗くなっていますが・・・青空の色が出ていませんね。2枚の写真の左上の空の色を比べてみてください。
状況によって方法はいろいろですが、以上のような事を考えると、やはり「なるべく現場で結果を出す」方が、表現したい「いい写真」を撮れる、と私は思っています。
これが、被写体が小さいもので、室内など暗い環境であればフラッシュを使い補正していくことができますが、自然光でしか撮れない場合はこういった工夫が必要ですし、撮影する時間帯(タイミング)、光の向き(順光か逆光か半逆光か)も大切です。この写真は太陽が向かって右上(半逆光)の状態です。たまたま通りかかった所、いいライティングの景色だ!と思い撮影しました。
フラッシュを普段から使っていると、光の特性がだんだんわかってきて、こういった自然光での撮影時にも応用ができますので、撮影がとても楽しいです(^^)
お気に入りの場所でお気に入りの風景をバックに素敵な写真を残したい貴方!是非ご相談ください。