※この記事の作例写真は
被写体の皆様の許可を頂くのが困難ですので、
全てぼかしを入れています。
私が尊敬するアメリカのプロフォトグラファー、Joe Mcnally 氏も その著書で書いていらっしゃいますが、
集合写真ほど難しく、カメラマンの心を折りまくる仕事はないんじゃないでしょうか(^-^;
上の写真は某小学校の運動会の撮影の時に撮った集合写真です。この学校では通常、集合写真は生徒さんが全員出席している日を狙って先生方が撮っていらっしゃるとのことでしたが、この時は運動会当日、突然現場で依頼されて焦りました。慌ててバッテリーフラッシュ400W(トキスターのBP4.0LH)を担いで校舎二階に陣取り、3分ほどで撮影しました。先生方に声がけなどお手伝いいただいたおかげで、素早くいい写真が撮れました。
余談ですが、集合写真ではフラッシュはほぼ必須になります。理由は、
- 屋外での集合写真の場合、被写体が順光になるようにポジションをとると、眩しさで目を細めてしまう・つむってしまう人が続出する。それを防ぐために通常屋外では逆光・半逆光で撮ることが多い。すると、必然的に被写体が暗くなりがちなので、フラッシュで光を補う必要がある。
- 屋外でも、被写体皆さんの目に綺麗なキャッチライトを入れて、生き生きとした写真にしたい
- 屋内では単純に暗いのでフラッシュが必要
等があげられます。
そして、大人数になればなるほど・周りの環境が明るければ明るいほど、大光量の大きなフラッシュが必要になります。先日ご依頼頂いたブライダルの集合写真では、それぞれクリップオンフラッシュを4つ使用しました。(それでも足りないくらいでしたが)
これらの事柄に加えて、カメラマンの心を折りまくる(笑)集合写真の難しさは
- 人数が増えれば増えるほど、目を閉じてしまったり、前の人の影に顔が隠れてしまうリスクが増える
- 様々な服装の色が混在し、適正露出算出が難しい
- メガネにフラッシュが反射してしまう
- じっくり撮影する時間がない
などなど、様々な問題が生じやすい撮影となります。
よく、デジカメなんだから連射しまくればいいじゃん、と言われますが、私の経験上連射しまくって上手くいった試しはありません。声をかけながら、シャッターのタイミングを伝えつつ5~10枚撮るほうが成功率が高いです。連射ですと、被写体の皆さんがタイミングをつかめなくて、最初の1枚以外は使い物にならない写真を量産するだけのことが多いです。
もうひとつ、集合写真では大きな光量を必要とするため、フラッシュがカメラの連射についてこれないことが多いのです。1枚撮ったら再チャージの間をあける必要があります。(1~2秒)
様々な現場で集合写真を撮ってきましたが、私の場合、
- 撮影枚数は5~10枚
- 撮影データによると、最初の一枚から終了までかかる時間は2分30秒前後
であることが殆どです。これ以上のスピードを求められても、恐らく私では無理です(^-^;
最近一番手をこまねいているのは、メガネの反射です。一応、撮影前に、メガネの方には顎をやや引いていただくか、可能ならば外してくださいとお願いはしていますが・・・
天井の低い室内などで撮る場合、どうしてもフラッシュの高さを稼げないため、レンズとほぼ同じ軸線上にフラッシュを設置せざるを得ない場合など、高確率でメガネにグリーンの反射が入ってしまいます(なぜグリーンになるのでしょうね、最近のメガネのコーティングの影響でしょうか)。基本的にフラッシュをできるだけ高く設置するか、何か大きな白いものに反射させるなどの工夫をすればメガネの反射は防げますが、それらのセッティングができない場合も多々あるのです。
最終手段は、パソコンで現像する際にフォトショップなどのソフトでメガネの反射を除去する等しかありません・・・
それと、最初の学校での例のように、突然依頼される場合もあります(^-^;
その時に最適な機材を常に持っているとは限りませんが、その時に手元にある機材で最大の効果が得られるよう、日々練習を重ねております(^-^;
この写真はブライダル会場にて。比較的天井の低い会場でしたので、カメラにつけたクリップオンフラッシュを天井に向け「天井バウンス」で撮りました。(フラッシュSB-800 1台 nikon D3. 38mm. 1/60秒. F5. ISO1100 )
メガネの反射も防ぐことができました。フラッシュがひとつだったのでカメラのISO感度を上げて撮りました。
こちらはつい先日、懇親会の集合写真を撮りました。ついに導入したバッテリーフラッシュ、profoto B2 250wのおかげで、大変スムーズに綺麗に撮れました。メガネにやや反射が入ってしまったので、もっとフラッシュを高い位置に設置すればよかったと思います。
(nikon D810 ,35mm,1/60秒,F10,ISO64)
一番大変で難しい集合写真ですが、よく考えれば、
カメラマンやってると一番依頼の来る撮影内容ですよね(^-^;
様々な経験から、何が必要で、どういった撮り方がいいのか。諸先輩方のプロカメラマンの皆さんが、たった1枚の集合写真のためになぜあんなに機材を設置していたのか、わかってきました。
大事な集合写真や記念写真も、是非ご依頼頂ければと思います。